

井の頭自然文化園の未来を想う会
ふれて見る彫刻鑑賞ツアー
東京都の井の頭自然文化園内に林立している北村西望の彫刻作品を身近に感じ
誰でもが楽しめる新たな鑑賞体験として "ふれて見る彫刻鑑賞ツアー" を開催しました。
日時/2024年10月26日(土) 13時~15時
会場/井の頭自然文化園彫刻館2階 及び 彫刻園
参加者/一般参加20名+子供2名
解説/土方浦歌(北村西望研究者)
主催/井の頭自然文化園の未来を想う会
後援・助成/武蔵野市生涯学習事業費補助金交付事業
協力/井の頭自然文化園

企画趣旨 ツアーテーマ
1. 視覚だけの鑑賞に加え作品にふれることで拓かれる感覚によって彫刻作品の新たな魅力を見つける。
2. 北村西望作品の躍動的で詩的で感情を強調する表現形式を学び体感する。
3.「彫刻は人である」ことから作品に関連する物語やエピソーを学び、その背後にある感情や動機に
ついて感じ取り、その人への共感を醸成する。
4. ただ鑑賞するだけではない、みんなで話し合う新たな彫刻鑑賞を体験する。
5. 鑑賞者同士の対話から、気づかなかった新たな共感や発見を獲得する
鑑賞方法 “屋外彫刻にふれて見よう”+“彫刻に向かい合おう”
1. 作品解説と物語から作者が表現するテーマ、意図、感情を理解する。
2. さらにふれて見ることで作者の視点を追体験してみる。
3. 作品を人として捉え向き合うことで、今度は自由に自分なりの…
~その人のプロフィールを作成してみる
~その人がなにをしようとしているのか
~その人と共感できること、一緒にできることはなにか 等々…
ワークショップ オリジナルの作品像と作品への愛着へ
1. 鑑賞者が得た各作品への自由な共感を付箋に書き込み共有する。
2. 鑑賞者同士の対話や意見交換とインタビュー
鑑賞作品

《師範代》

《拳闘》

《源泉》
ツアープログラム

01 鑑賞の趣旨と注意事項
◀彫刻を遠くから見るだけでなく、少しだけ距離を近づけて
北村西望の彫刻の語りかけるものを感じてほしい
◀公園内の彫刻は強度などは考えて作られていないため、
美術品を触っているということを意識してください
02 作品紹介
▶これらの作品は人物像をモデルにして、その人の社会的
属性を彫刻のテーマに取り込んでいます。どんな状態で
どんなポーズをしているのかを理解しましょう。
《師範代》… 師範の瞳孔と目線の位置をよく見てみよう
《拳 闘》… 1920~30年代に作られた人体彫刻
《源 泉》… なににさわっているのか想像してみましょう


03 作品鑑賞
《師範代》
◀この人は柔道の先生で、競技の判定をするので見ているの
ではないでしょうか。骨格や筋肉を、実際以上に強調して
作っており、“動” に向かう前の “静” の動きを一瞬のふり
に込めています。

《拳闘》
◀1984年のロス五輪の会場に展示するために作られました。
1920年代に活躍した佐藤東洋選手がモデルです。鼻の骨が
折れているようなのがボクサーらしい。どれだけパンチが
強いのか想像してみよう。

《源泉》
◀この人は何にさわっているのかを、想像してもらえるポーズ
です。これは北村西望が展覧会の審査員になって、初の出品
作です。さわっている泉は着想の泉を想定しているのかもし
れません。
04 ワークショップ&対話
▶それぞれ、彫刻の人物と一緒にどんなことをしたいか、
想像力を膨らませて付箋に書きました。
書いた付箋を見つつ読み上げつつ、さまざまな発想を
前に、和気あいあいと話がはずみました。
彫刻の人物の状況や気持ちに近づけたでしょうか?
「ひとりで見る時気がつかない事や感じがわかった」
「ひとつの作品をゆっくりいろんなことを考えたり感じ
たりしながら鑑賞する楽しさを知りました」
「五感を使ってのツアー、彫刻園が身近になりました」
という反応がありました。


文責 井の頭自然文化園の未来を想う会
